奈良・平安時代

扇子は奈良時代の初期に開発され当時の扇は木簡を重ねたもので、2〜3cm幅の薄い木の板を重ねて作られました。

これを「檜扇」と呼びます。
メモやノートのように文字を書きつける道具として利用されており、儀式や式典などの順序を記していたようです。
平安時代の中期になると、数本の竹に紙を貼った「蝙蝠扇」が生まれます。

鎌倉・室町時代

この時代では、能や狂言、仕舞、日本舞踊、歌舞伎などの文化が興隆し、様々な文脈の中で使われるようになりました。
手元を大きく見せるだけでなく、役柄の人の感情や気持ちを表すツールとして使われています。

伝統芸能を鑑賞される際は、扇子にも注目してご覧いただけると違った面白さを感じていただけるのではないでしょうか。

16世紀ごろにポルトガルとの交易が始まると、ヨーロッパへの輸出が始まりました。

主にスペインやフランスの貴族の持ち物として愛用され、扇子が海外に渡ったことで海外独自の扇子が生まれました。

絹などの布を扇面に貼った「絹扇子」です。この「絹扇子」が逆輸入され、日本でも絹扇子の製造が進んでいきます。

宮中文化としてはじまった扇子の文化は、長く京都の中で培われてきました。
江戸幕府が創設されると、京都にいた扇子職人も東京に居を構えるようになりました。

ここから江戸扇子が発展していきます。江戸らしい粋な連続文様が多く、独自の発展をしていくのです。